2019/01/25
1年のおしまいに、いまや戦前を生きるわが教室のA君たちに、 七尾旅人の「兵士A]を贈ろう。 いま静かに忍び寄りつつある戦争の最初の戦死者A君の物語を。 文字で書かれているものばかりが文学ではなく、 難解な言葉で語られるものばかりが思想なのでもなく、 いまみずからが生きる世界へのどんなに小さな問いを手放すことなく、...
2019/01/18
金時鐘の日本語破壊/創造を確かめるために、 鄭芝溶(チョン・ジヨン)の詩『고향 (故郷)』の翻訳を読み比べる。 -------------------------------------------------- 『ふるさと』 訳:金素雲 ふるさとにかへり来て/ふるさとの あくがれわびし。 雛いだく野雉はあれど/ホトトギス すずろに啼けど、 ふるさとは こころに失せて/はるかなる港に 雲ぞ流るる。...
2018/12/07
 詩人小野十三郎のことを語りたいと思います。 「リズムは裏切らない。リズムは批評であり生活である。そしてそれが過去から流れてくるものではなく、未来からくるものであるとすれば、リズムはいわゆる生活ではなく、生活の可能性である。」(小野十三郎『詩論』228) 「悲しみと怒りの極まるところで新しい方法を持て」(『詩論』232)...
2018/11/30
本日は『苦海浄土』シリーズ 最終回。 石牟礼道子さん没後にNHKで放映されたドキュメンタリーを観ます。 これ、なにがすごいかって、 石牟礼さんの顔がだんだん狐になっていきますよ、 狐になりたかった幼き日の大廻りの塘のみっちんに還っていきますよ、 ご覧あれ!
2018/11/16
本日は、「じょろり/浄瑠璃」としての『苦海浄土』実演です。
2018/11/09
第六章「とんとん村」を読む。 石牟礼道子は、「百間排水口の沖の恋路島の根つけに、またタレソ鰯やわかめが異常繁殖して、採り手が多いということ」を知っていながら、その「水俣病わかめ」を宮本おしの小母さんから買う。小母さんのご亭主の利蔵は水俣病で死んでいる。 「あねさん、よかわかめじゃが買わんかな」...
2018/10/26
10月19日は休講。 これ幸いと、先週13日から19日まで、まずは、京都~大阪~宗像~熊本~鹿児島を巡り歩く旅の中。 そして、さらに、23日から25日の三日間は済州島。 死者の声を追って歩いていました。 13日の京都では、旅のはじめに宣言一つ。 アナキスト宣言@「水と風のアナーキー」with 仲野麻紀(ky)...
2018/10/12
いったん整理します。 問題はつまり、 どの死者の声を聞くのか? ということなのです。 「砂けぶり」の現場を死の恐怖の中で体験し、「朝鮮人になっちまいたい」とつぶやいた折口はいったい誰の声を聞き取っていたのか?...
2018/10/04
本日のテーマは、<異人と歓待と文学> 「歓待の行為は詩的なものでしかありえない」とデリダは言う。 しかし、詩的な想像力/創造力によってこそ、不可能な歓待を可能ならしめる世界は到来するのではないだろうか。 前回、八重山での折口の異人発見の話をする前に、ホメロスが叙事詩「オデュッセイア」に書き込んだ「歓待」について触れました。...
2018/09/21
[足尾鉱毒のことにつき、天皇に直訴する田中正造]

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